この記事はNFTクリエイター/イラストレーターのなおすけさんにインタビューした時のものです。
なおすけさんはファンタジー系の作品からちょっとエッチな作品まで手がける、多才で器用なクリエイター。
しかもその作品、有名コレクターぽぽさんやCoolGirlファウンダーimotoさんにもお迎えされ、一気に脚光を浴びることになりました。さらにほかにも多数の作品が次々とお迎えされ、およそ順風満帆に見えるNFTクリエイター生活を送っているように見えます。
しかし自身の体調不良やNFT冬の時代突入による売上激減で、苦杯を喫することとなってしまいました。
そんななおすけさんが考える今後のNFTとの付き合い方、ジックリ聞いてきました。
この記事には自身を「老兵」と呼ぶNFTクリエイターなおすけさんの絵への想い、そして生き様と覚悟が刻まれています。
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NFTが好きなブロガー。
プロジェクト系よりも個人クリエイターが好き。
漫画家を志した少年期
よろしくお願いします。
早速なんですが、いつから絵を描いていたんですか?
絵を描き始めたのは子どもの頃からです。親父が普通のサラリーマンなんですけど、ずっと絵を描いてる人なので、その影響で。
なるほど。その頃はどんな絵を描いていたんですか?
もともとは高橋留美子先生や桂正和先生に憧れて漫画を描いていましたね。このお二人は自分の創作の起源にもなってます。
おお、そうなんですね。私も漫画が好きなので、高橋由美子先生や桂正和先生にはガッツリと心を掴まれた口です。特に桂正和先生の影響は大きいです。その影響で今でもショートカットの女性がタイプですもん。
あの時代でショートカットの女性を魅力的に描かれる作家さんは少なかったと思うんですよね。
私が描く女の子のその表情とか仕草とか、あとパンチラ作品とかを書くんですけど、やっぱりそれって、桂正和先生にモロ影響を受けてるんですよ。
なおすけさんも漫画家を目指していたんですか?
そうですね。その時遊んでた友達と漫画書いたりとかしてて、高校ぐらいまではそういう道に進みたいなと思ってずっと描いてましたね。
それに当時はイラストレーターっていう発想がなくて。
そうかー。当時は絵を描くとなれば画家とか漫画家しかなかったわけですね。
そうですそうです。だから漫画家を目指す登竜門みたいな感じで、ジャンプとかサンデーの新人賞に応募して、いずれは賞を取るって漠然と考えてましたね。
うんうん、なおすけさんの作品の世界観って、漫画家を目指した過去があってこそのものだと思います。特にファンタジー作品は大好きです。
30年間全く描かない日々
そのまま漫画家目指して一心不乱に突き進んだんですか?
いえ、それからは30年ぐらい全く描かない状態でしたね。
ええ!いきなりですね。
高校時代までは描いていて、大学進学の時期に色々と悩んだんですけど関東に出てきて就職しちゃったんですよね。
そのままもうずっと絵を描いたりとかっていうのは基本的になかったです。たまに落書きを書く程度でした。
なるほどー。就職して1人暮らししてってなったら、本当に忙しいですもんね。時間がなくてやりたいことが全然やれなくなる。夢と現実の違いを思い知っちゃう時期ですよね。
ふたたびペンを握ったキッカケはアニメ
ふたたび絵を描き始めたのはいつからなんですか?
2019年頃からですね。久々にアニメを見る機会があって、今のアニメって知らないうちに結構面白いの色々あるんだな、みたいな感じのところから「あー、 なんかちょっとまた描いてみようかな」みたいな感じで始めましたね。
なるほどー!こりゃまたいきなりですね。それで描いたものをどこかに公表したりはしてたんですか?
はい。youtuberでアニメを語る【たぐぢエンターテイメントさん】っていう方がいるんですけど、その方が毎週日曜日にやってるアニメ週刊ランキングみたいなものがあるんです、生放送で。
そこで視聴者の方で絵を投稿するコーナーがあるんですよ。そこには絵のプロからアマチュアまでいるんですけど、そこに応募してみようと思ったのがキッカケですね。
それからずっと毎週欠かさず投稿するぐらいの感じでやってました。
毎週ではないんですけど、今でもその番組には投稿してます。それで番組の中で紹介してもらったり、サムネで使ってもらったりみたいな感じですね。
へえ!あ、見つけました。この動画のサムネがなおすけさんの描いたものですね。
この方は本当にすごく面白い視点で感想を述べられて、自分が知らない面白いアニメを教えてくれます。そういうところが彼の魅力ですね。だからずっと番組とはそういう意味でのお付き合いっていうか、絵を投稿させてもらってますね。
絵の再開のキッカケとなったコンテンツとずっと継続した付き合いができてるって、なんかいいですね。
NFT参入。キッカケはさいとうなおき先生
NFTに参入したのはいつからですか?
NFTは2022年1月ですね。
2019年の夏ぐらいから絵を描き始めて2020年からpixivで投稿したりするようになったんで、Skebで依頼をもらうようにはなってました。 あとはtwitterDMでも個人依頼をちょこちょこもらうようになってて、その頃は普通に仕事をしながら副業的な感じでやってました。
順調ですね。
いえ、noteにも書いたんですけど、持病を持ってて2021年秋頃には仕事を辞めちゃったんですよね。
会社にも迷惑がかかるし、通勤も結構しんどかったので。
そうなんですね…。それはツラいな。
で、まあ半ば人生諦めるわけじゃないんだけど「もういいかな」みたいな感じで、とりあえず自宅療養。
でもやっぱり家にいても寝たきりってわけでもないし、ずっと苦しいわけではないんですよね。
だから自宅療養をしながら、フリーランスのイラストレーターを勝手に名乗って始めました。
そこで絵に本腰を入れたんですね!
それで活動していたらさいとうなおき先生がNFTアートを600万円で売ったってニュースを見ました。
当時の自分は仮想通貨とか全然わかんなかったし、元々あんまりいいイメージは持ってなかったんです。でも「さいとうなおき先生がやってるんだったら、 悪いものじゃないんだな」って。「じゃあ、ちょっとやってみようかな。」って思いました。
なるほど。そういうキッカケだったんですね。NFTはイラストレーターとしての販売方法を増やすって意味合いで始めた感じですか?
そうですね。コミッションとは別の販路を増やす意味合いでNFTもやってみようって始めたのが2021年1月ですね。
ParkerGirls &69Girlを同一コレクションで展開
NFTを始めた当初はどんなものを描いていたんですか?
それが最初は本当に何を描いたらいいか全然わかんなかったんです。それでも考えてみてPFPになるような、ちょっとデフォルメしてパーカーを着てる女の子の【ParkerGirls】ってコレクションを出したんですよね。
その頃はまさにPFPブームですもんね。
はい。それを最初に出していったんだけど、やっぱり売れなくて。
えー、こんなに可愛いのに売れないんですね。
そうですね。パッとしないっていうか。それでpixivでもずっとオリジナル作品をアップしてたんで「それをそのままNFTにしちゃおう」って。それでパーカーガールズのシリーズ系で【69Girl】っていう作品をNFTにしたんですよね。
おお、カッコいい!ホントにファッションブランドみたいですね。
架空のファッションブランドをテーマにして「69」っていうログを入れたファッションを身にまとってます。
これが結構ちょこちょこ売れ出したって感じでしたね。
なるほど。pixivとかでイラストを描き続けていた経験がガッツリと生きた感じですね。
FLLOWER GIRLSが絶好調!
最初は行き当たりばったりで描いていたんですが、それでも1ヶ月運用していくなかで、なんとなく、こう、わかってくるじゃないですか。どういうのが売れてどういうのが興味を持たれるのか、みたいな。
それで2ヶ月目の時に【FLLOWER GIRLS】っていう女の子の顔が大きく映ってるPFPを出したら、それが結構当たったんですよね。
売れてる画像
あっ、見たことあります!CoolGirlのimotoさんがお迎えしてましたよね!
そうですね。ほかにも有名コレクターのぽぽさんなんかもお迎えしてくださいました。このコレクションは最初に桜って子を出して、事前オファーでいきなり0.1ETHもついちゃって。
すごいですね!その頃って1ETH40万円とかだから、いきなり4万円の売り上げですか!
そうなんですよね。そこからも10作品くらいずっと事前オファーで必ずお迎えが来るみたいな状況が続きました。
FLLOWER GIRLS可愛いですもんね。今は描いていないんですか?
100人まで描こうと思ってたんですけど、今は25人くらいで止まってますね。新作も出せてないんですけど、やめる気はないんでまたそのうち描こうとは思っています。
それは楽しみです。
ありがとうございます。で、市場から一定の評価をされると、なんて言うんだろ、変な自信がつくっていうか「なんかやれるんじゃないか」みたいなのがでてきたんですよね。
それで当時結構すごい絵師さんがfoundationに挑戦していたので「自分もfoundationに挑戦してみたい!」ってなっていきました。
NFTの売買ができるプラットフォームのひとつ。特徴は芸術性が高い作品が高値で売買されること。
当時は招待制でしか出品できない高い敷居があった。そのためfoundationで出品することは、本気のクリエイターの試金石的な意味合いも強かった。
≫なおすけさんのfoundationページ
foundationに挑戦
foundationって当時は招待制だったんですよね?
そうですね。クリエイターの知り合いの方から招待いただいて、foundationに挑戦するようになりました。
それでfoundationでも0.3ETH、0.2ETHで作品が売れる、お迎えが来るっていう状況が続いたんですよね。
すごいですね!
で、当時のETH価格も40万円とかだから、0.2ETHでもお迎えがきたら10万円近くなっちゃうんですよね。
そう考えたらバブルだったんですかね。
そうだと思います。イラストでほとんど実績がなかった人間が参入して1~2ヶ月ぐらいで、自分の作品がいきなりそんな高額で売れてしまう。
ビギナーズラックもあったと思いますが、やっぱりバブルだったんだと思います。
だけどやっぱり1回そういうのを経験しちゃうと、それをまたできるものだって思ってしまうんですよね。
それはありますよね。
うん、あるじゃないですか。でもETHの価格が下がったりとか、市場が冷え込んで売りづらい状況っていうのも当たり前に来るわけですよね。だから良い恩恵にあやかれたのは最初の半年ぐらいなのかなって気はしますね。
なるほどー。いい時がずっと続くわけじゃないですもんね。今の市場にも言えることかもしれませんね。
【MAJOKKO GAKUEN】始動!
今、メインで出品されてるのがこのMAJOKKO GAKUENで合ってますか?
ええ。MAJOKKO GAKUENを主軸にやっていますね。
MAJOKKO GAKUENを創作することになったキッカケを聞いてもいいですか?
はい。結構お迎えされにくい状況になってきて、このままだと尻すぼみになってしまうと思いました。だからどうせだったら1回フラットにするじゃないけど、初心に帰って1から新しいコレクションをやろうと思ったのがキッカケです。
なるほど。
それで色々と詳しい人にも相談させてもらって、作品をお迎えしてもらった方にはドロップアイテムがもらえるとか、長く保有してもらうとポイントが加算されるようなギミックも入れています。
ドロップアイテムを集めると何か特典はあるんですか?
いくつか考えていることはありますね。たとえばオリジナルPFPがもらえるとかフィジカルグッズに交換できるとかです。
なるほど。フィジカルグッズってのは最近のポイントでもありますし、いいですよね。
そうですね。そういう色々な構想を膨らませて始めたのがMAJOKKO GAKUENです。
あとはお求めやすい価格だけど、クオリティは落とさないことをポリシーにやっています。
うんうん。お手頃価格だけどもちゃんと“なおすけ作品”ですよね。
MAJOKKO GAKUENは全キャラの設定を作り込む
MAJOKKO GAKUENのキャラクターってひとりひとりしっかり設定が作りこまれてますよね。
そうですね。ひとりひとりのキャラに個性を持たせたくて説明文にも設定を細かく書いてます。
ホントにびっしりと書かれてますよね。
キャラクター自体に、こう、命を吹き込みたいんですよね。大袈裟かもしれませんが。
たとえば名前や出身地、性格だとか細かい設定をすることで、もっとキャラクターを好きになってもらいたい。そうしたら面白いんじゃないか、と。
自分自身、ファンタジー要素が入ったものは好きなので、自分がまず楽しく書けるっていうのが大前提にあるんです。
たしかにキャラクターの書き分けがすごいですもんね。
はい、実はめちゃめちゃ結構時間かかってます、これ。
そこまでする理由ってあるんですか?
脇役を買った人って、なんか嫌じゃないですか。だから1個1個の作品をお迎えしていただく以上は、キャラは立たせたいなっていうのがどうしてもあるんですよね。
なるほどー!たしかにそうですよね。昔とある漫画家さんが「うちのキャラは全員が主人公です!」って言ってたのを思い出しました。
そうですね。最初に出したマインっていう金髪でドクロをつけた子が主人公としているんですけど、違う視点から見たらほかの子も主人公というか、そういう作品が好きなんですよね。
そうですよね。私もストーリーが見えた方が面白いと思う派なんで、このMAJOKKO GAKUEN好きです。
自分もその方がいいと思ってます。「この子が好き」ってなったら、ずっと応援してもらえることってあると思いますから。だから感情移入しやすいように設定とかはこだわってますね。
おまけ:インタビュー後にMAJOKKO GAKUENが気になってエルフのロマンちゃんをお迎えしました。
自分自身を「老兵」と呼ぶ理由
なおすけさん、Twitterで自分のことを「老兵クリエイター」っておっしゃってたじゃないですか。
はい。たまに使いますね。まあ良くも悪くも人生経験というか、いろんな仕事をこれまでにもやってきてますし、やっぱりそういった意味で伝えられることもあるかな、と。だから「老兵」という表現をしましたね。
歳を取ってること自体、全然恥じてるわけではないんですけど、なんかまあ…。同年代とかアラフィフ目前で、いきなりイラストレーターになってる人ってのも、そんなにいないと思うんですよね。
たしかに少ないでしょうね。
でも、何て言うのかな。おじちゃんを、こう…、”ハッキリ”と見せる。じじいを露出っていうか。
じじいを露出、ですか。
そしたらアラフィフぐらいの人が「じゃあ自分も頑張ってみようかな」っていう風に、本当に思ってくれるかもしれないし、なんかそういうのもありなのかなって。それで「老兵」って言ってる部分はありますね。
なるほど。
正直言うとやっぱり若い女の子とかの方が応援はされやすいと思うんですよね。もう、あきらかに。
ただ、逆に言うと50代でこんだけ…、何て言うんだろ。 踏ん張ってるじゃないけど、やってる人もいるんだなっていうのも、それはそれで面白みがあると思ってるんで。
だからそういうのを隠さずっていうか、ありのまま見せるようにはしてますね。
今後はNFTと同人漫画にも挑戦していく
今後のなおすけさんの活動や目標を聞いてもいいですか?
NFTアートはMAJOKKO GAKUENをメインにして続けていくんですが、それ以外にも同人漫画なんかをやっていこうと考えてますね。
おお、同人漫画ですか!すごい合ってると思います。
本当はNFT始める時、同時にやろうと思ってたんですよ。でもNFTが自分の目の前にポーンと入ってきてうまくいっちゃったので、1回そこで漫画書くのをやめちゃったんですよね。
NFTは売上的にも強烈でしたからね。
ただ今は当時ほどの盛り上がりもないのはわかっていても、NFTにしがみついていた自分もいたんですよ。だから今後は同人漫画の方もやっていきたいと思っていますし、そっちにNFTのキャラクターをだしていくのもいいのかな、とも思ってます。
なるほどー!それはいいですね。
それにNFTの技術自体はすごいので、以前のような形でなくてもまた盛り上がるとは思うんですよね。その時に自分がいるかいないかって話だと思うんですよ。
そのためにも漫画と同時並行でNFTもやって…、そうですね、しがみついていきたいですね。
まったく同感です。私もなんとかしがみついていきたいと思って活動しています。
なのでTwitterのバズも狙っていきますし、pixivのコンテストなんかにもだしたいな、と。それに漫画やNFT、いろいろな販路を狙って活動していこうと思ってます。食べていくためにもしっかりやらないといけませんしね。
いいですね。なおすけさんの想いが詰まったこの記事、読んでもらえた方にきっと勇気を与えてくれると思います。今日はありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
Twitter:@nowsketch_NFT
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